年末年始大改修ダイジェスト〈前編〉

暖冬かとささやかれた昨年までとは打って変わって、全身を刺すような寒さにこの頃はますます布団から出るのが億劫になります。おかげですっかり怠け癖のついた私は、前回の改修レポートから再び一ヶ月以上のブランクを経てやっとこさ更新する気になったのでした…。もし男木島でこうした人を見かけたら「だから男木時間は困るんだよな〜(笑)」と一言で一掃してあげるのがひとつの流儀であることを伝授させていただいて、話を本題の方に移していきたいと思います。

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年末年始大改修ダイジェスト前編では、師も走り回るほど忙しい月とされる十二月中の作業の模様をお伝えします。新年早々昨年末を振り返るとは気持ち的に前向きでない気がしますが、ちょっぴりタイムスリップしたつもりでご覧いただければ幸いです。

 

■壁面本棚設置

一階西側の内壁一面に据え置きの本棚を設置しました。施工は私が担当。五本ある柱をそれぞれ挟み込むように側板を取り付け、間に厚さ約二〜四センチの棚板を渡していきました。こうすることで広々とした空間を確保することができるだけでなく、建物の構造強化も同時に図れてしまうというのだからまさに一石二鳥です。上段二段は文庫本から小さめの単行本まで収納可能なサイズに、最下段は大判の雑誌や図鑑にも対応可能なサイズに、その他の段は棚板を等間隔に当て込んで仕上げました。

現代主流の鉄筋コンクリート造の建物とは異なる木造家屋のため、建物に経年劣化による歪みが生じてしまうことはどうにも避けられず、棚板を隙間なくはめようと思ったら最大二センチほどの寸法の微調整が所々で求められたので、罫書きをする作業には一苦労しました。最初のうちはメジャーで毎度丁寧に計測して罫書き線を出していましたが、次第に私の横着っぷりが発揮され、最終的には目分量による現場合わせで作業は進められたのでした。何をするにもこれぐらいの大らかさをいつでも持ち合わせていたいものですね(というのはただの言い訳です。)

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柿渋を事前に塗りつけていた木材は、時間が経つにつれて色味が増して艶やかに。この本棚にはどんな本たちが並ぶのでしょう。

 

■正面開口部施工(縁側、建具の取り付け)

ご来館くださったみなさまを第一にお迎えする玄関口となる縁側が、棟梁イナヅカさんの手によって完成されました。自ら縁側作りを買って出てくださったイナヅカさん、過去に施工経験があるのかと思いきや「縁側なんて今まで作ったことないです。他の作業も図書館で初めてやらせてもらうことの方が多いし…。大工仕事はただの趣味みたいなもんです」と謙虚な発言をされながらも、「まぁこんな感じで作ったら良いんちゃうかっていうイメージはあります」と、頭の中にある緻密な設計図を再現されるように粛々と作業を進めてくださいました。ここで使用された木材は、イナヅカさんが香りや肌触り、木目などの風合いまで考慮してこだわりを持って選ばれた檜(ひのき)材。施工途中に現場に立ち会わせた理事長順子さんが思わず「すでに寝っ転がって本読みたくなるなぁ〜(笑)」とこぼしてしまうほど、居心地の良い縁側となりました。

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縁側の床下構造となる大引と根太を渡して微調整中。一寸の狂いも許さぬ徹底ぶりはプロにも匹敵されるはず。

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この板の上にさらにもう一層、檜の床材が。庭を眺めながら腰掛けるにもちょうど良い高さになっています。

縁側に続いて棟梁が挑んだのは、縁側に面する図書館最大の開口部に内と外の仕切りとなる建具を入れる作業。もともと残っていた建具は痛みが酷くて残念ながら使い物にならなかったため、古道具屋で運良く見つけた男木島の古民家らしい雰囲気に合う大正時代製のガラス戸を手に入れ、図書館のあらたな顔とすることにしました。この建具に合わせて鴨居/敷居(建具を立て込むために開口部の上部/下部に取り付ける、溝のついた水平材)も新調、かつこれまでの工程で既存値よりも三〇センチほど高さを下げた床面に合うように鴨居と敷居の位置も下げる必要に迫られるなどして、図書館の改修が始まって以来の大仕事ともいえる難題を強いられました。

しかし、そんな苦境にも果敢に立ち向かっていかれた棟梁はすごかったのです。鴨居と敷居の溝はトリマーと丸ノコを何往復もさせて丁寧に掘られ、柱にそれらを取り付ける前にも何度も建具の滑りや交わりを試しで確認され、いざその場に収めてみると違和感も隙間も全くない見事な仕上がりを実現されたのです…!これには図書館メンバー一同感嘆の声を上げてしまいました。図書館にお越しいただいた際には、趣味の領域を飛び越えられた棟梁の仕事っぷりをぜひ細部までご覧になってみてくださいね。

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鴨居と敷居の溝掘りに集中力を注がれる棟梁。寒空の中、日が落ちてからも作業を続けてくださっていました。ありがとうございます。

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建具が入ったことで屋内感が一気に増した図書館。モチベーションも一層アップです!

 

■緑化屋根下地作り

建築部隊長の大和さんが中心となって進めた、南側一階屋根の緑化構想。台湾在住の設計士くもさんが引いてくださった図面を元にしながら土受けとなる下地作りに取り組みました。ここでキーとなったのは、排水機能の確保と土止めの役割の両方を備えた自作のL字部品。水に触れても錆びないステンレス製の目の細かな大判の網をカットし、三つ折りに畳んだうちの二片を山折りの状態のまま重ね合わせてL字のような部品に仕立て上げたものを屋根に打ち付け、囲いを作りました。既製品でも同類の部品はあったのですが、購入するとコストがかなりかかってしまうと予想されたので、大和さんが工夫を凝らして男木島図書館等身大の方法を考案されたのでした。このようにして図書館メンバーは大工スキルとともに、自給力も日々ぐいぐいと向上を見せています。

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緑化屋根の仕様は多種多様にあるのだそう。この後うまく土が入りますように。

 

■餅つき

年の締めくくりには欠かせない餅つきを男木島図書館でも開催しました。日中には少しでも作業を進めたいということで、早朝から蒸し器でもち米を炊き、気持ちを意識的に盛り上げて臼と杵を使ってお餅をつきました。お正月を迎えるための鏡餅のほかに、あんころ餅やいちご大福も作ってみんなでおいしくいただきました。近頃はとくに改修作業を進めるのに手一杯でみんなでこうしてわいわいする時間は以前ほど多くは無くなりましたが、お餅のように粘り強くやり切って、今度は開館祝いのお餅つきをもっと大勢の人たちと楽しめると素敵だなと感じた年の暮れでした。

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力自慢のつき手が集結。もちもちと弾力のあるお餅が出来上がりました。

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島のヨン姉と宮大工カズマサくんの初の共同作業による鏡餅作り。おめでたいですね。

 

年末年始大改修ダイジェスト後編も近日公開予定です。ごゆるりとご期待くださいませ。

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