連日じめじめとした暑さがつづく男木島ですが、つい昨日からセミの鳴き声をちらちらと耳にするようになりました。いよいよ夏本番という感じですね。開館予定の8月が近づく男木島図書館の改修作業にもいっそう本腰が入ります。先週末7月4、5日の二日間では、男性陣主導の改築部隊、女性陣中心の和紙染め部隊に分かれて作業を進めました。
4日は島の精鋭若手男性陣が大集結。前回の作業で完成させた南側の本棚の下になるコンクリートの上に補強のための仮の柱を入れ込んだ後、最後に残る西側の基礎打ちに着工します。個々人の馬力の高さと絶妙なチームワークもさることながら、これまでに度重なるコンクリート打ちを経験してきただけあって手つきも慣れたもの。みるみるうちに型いっぱいにコンクリートが流し込まれ、立派な基礎が出来上がりました。仕上げにばっちりレベル(水平)がとれているか確認される様からは、もうすっかり土方仕事が板に付かれたような頼もしさを感じました。
翌5日にはこちらも非常に頼もしい助っ人として、香川大学瀬戸内地域活性化プロジェクトチームの学生さん総勢12名がお手伝いに来てくださいました。一晩明けてきれいに固まった西側の基礎と北側の基礎のつなぎ目にまだ少しコンクリートを流し込む必要があったので、学生さんたちがコンクリート練りに初挑戦しました。
コンクリートを扱うのはなかなかの力仕事ですが、若さとパワーに満ち溢れた学生さんたちは物ともせず。真剣な表情で熱心に取り組まれる姿がとても印象的でした。彼らの頑張りと、コンクリートを練り、流し込み、均(なら)す担当をそれぞれに配置して人海戦術で作業を進めた甲斐あって、午前中のうちにほぼほぼつなぎ目も完成しました。想定していたよりも大幅に上回る作業スピードに、彼らのモチベーションもさらにぐんと上がります。
お昼休憩を挟み、お腹いっぱいエネルギーを溜め込んだあとは1階西側の内壁撤去に取りかかります。壁を抜くということで、ここにも仮の柱を入れてしっかりと補強してから挑みます。ジャッキアップをするのももちろん初めてという彼に「作業してみてどうですか?」と質問すると「楽しいです!!」と、元気な回答がいただけました。作業合間にも笑顔がこぼれます。
柱が入り、準備が整ったところでいよいよ内壁を壊しにかかります。ハンマーやバールを手にデストロイヤーと化した作業メンバーの皆さんによって、某テレビ番組「◯的ビフォーアフター」の序盤に出てくるワンシーンのごとく豪快なる解体作業が繰り広げられました。足元には大量の土、空気中には視界が軽くぼやけるほどのほこりが舞い散る中、ものの数分でもとあった内壁はきれいに消え去り空間が開けました。西側からも光が差し込むようになり、一気に家の中が明るくなったおかげか、作業メンバーの顔も晴れやかに見えました。
落とした壁の土は水といっしょに捏ねて、そのまま活かす外壁の土が抜け落ちた部分に埋め込んで再利用を図ります。黙々と一投一投に力を込めて土をつめる彼らの背中からは「ハッ…!」という気迫のこもった掛け声が聞こえてくるようでした。
さて、こちらはところ変わって2階の和紙染め部隊の様子です。
天井から土が落ちてくるのを防ぐために防虫効果のある柿渋で染め上げた和紙を、あらかた水気が切れるまで干したあと天井に貼り付けていくという作業内容。隙間のないように詰めて貼り合わせていくのですが、自分の身長よりも高い位置での作業に悪戦苦闘します。というのも、和紙を貼り付ける過程で柿渋や水のりがポタポタと自分めがけて滴ってくるのです。最初は服が汚れたりからだがベトベトしたりするので「うわ〜気持ちわるい(笑)」と引き気味だった女性陣でしたが、そのうち「もうこんなけ汚れたら構うことないね〜」と見事に開き直る様にはふしぎと気持ちの良い潔さを感じるほどでした。当初の計算では天井すべてを覆うのに十分足りるだろうと目算していた200枚の和紙を一日がかりで染め上げることはできたものの、実際に貼り付けてみると天井の2割ほどしか埋めれず…。和紙染めの作業は今後もしばらくの間は続きそうな予感です。
5日には香川大学の学生さんのほかにも、直島、豊島にお住いの女性お二人がお手伝いに来てくださっていました。どちらも男木島に近い島ながら、島間を行き来するフェリーがなくアクセス面が不便という理由でふだんはなかなか交流の機会がありません。お互いの島での暮らしを共有していると、どの島でも共通する点やそれぞれの島ならではといった部分が次々に出てきて、興味深い内容に話がつきませんでした。図書館をきっかけに今後さらに交流の輪が広がっていくとうれしく思います。
わたしたち自身が島の外部の方と交流をもてることはもちろんですが、何よりうれしいのは島民のおじいちゃんやおばあちゃんと外部の方がこの場所で出会い、交わってくださることです。お手伝いに来られていた学生さんは作業に参加する傍らフィールドワークの一環としてインタビューも行われていたのですが、図書館の作業中にちらっと様子をのぞきに来られた島のおじいちゃんを見つけると「少しお話をお伺いしてもいいですか」と喋りかけに行かれました。ふだんは照れ屋さんなおじいちゃん、はじめは「なーんにも答えることはありません」ととぼけてらっしゃいましたが話をするうちに場も和やかに、自然な笑顔も見られるようになりました。まだ図書館はつくっている段階ですが家というハード面だけでなく、人と人の交わりやつながりといったソフト面もいっしょに育んでいけると良いなぁと思いました。
最後になりましたが、改修作業にご参加くださった皆さまありがとうございました!
今週末7月11、12日にも「第5回目ぐらい男木島図書館大改修大会」という名のもと、引き続き改修作業を行います。ボランティアさんも随時募集しておりますので、どなた様も下記Facebookイベントページまたはボランティア参加申込みフォームからどうぞお気軽にご参加表明、お問い合わせくださいませ。
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