前回の記事に引き続き、「真夏の図書館大改修ダイジェスト」後編では、8月前半の様子を作業内容ごとにレポートさせていただきます。
■家屋北・南・東側:屋根瓦下ろし
現在の瓦葺きの屋根から緑化屋根へと仕様をあらためるための準備で、瓦を一枚一枚手作業で下ろしていきました。状態がよくきれいなものは表の庭の隅の方に積み重ね、かけていたりひび割れしたりしているものについては思い切って廃棄しました。全部で数百枚にも及ぶ瓦が下され、積み上げた瓦も背面にある石垣を高く覆い隠してしまうほどの量になりました。高所かつ暑い中での作業ではありましたが、けがや体調不良者が出ることなく完遂できてほんとうに良かったです。お手伝いしてくださった男性陣の皆さま、ありがとうございました。
■1階①:外壁撤去
家屋一周屋根瓦を下ろせたところで減築箇所にあたる西側の外壁の土壁を落とし、合板を取り外して骨組みだけの状態にしました。「壁ってこんなに簡単に崩れてしまうものなの…?」と感じてしまうほど、あっという間の出来事でした。ふだんの生活ではなかなか経験できない大胆なる破壊行為に、作業を見守っている側もふしぎと心がスカッとしたのでした。
■2階①:床補修
先月末にご自宅を改修中の島民の方から頂戴した100年ものの古材がサイズも質感もぴったり合うということで、以前から痛んでいた2階の床の一部を張り替えました。「丈夫でずっと使ってきたものだしこのまま捨てるのはもったいないと思っていたから、かたちや場所を変えて残っていくと思うとほんとうにうれしい」と古材を受け取るときに島民の方が話してくださいましたが、わたしたちもそれだけ思い入れの深い大事な代物を引き継ぐことができ、胸にぐっと込み上げてくるものを感じます。実際のかたちだけでなく目には見えない気持ちもいっしょに紡いで、今後たくさんの方と共有しながらこの場を中心に男木島への愛着も育んでいけたらと思います。
■2階②:土壁隙間埋め作業
アク止めを塗り終え、白漆喰で仕上げる準備は残すところあと一工程となりました。長年の間に風化してところどころ亀裂が入って土が抜け落ちてしまったり柱との間に隙間ができてしまったりしている部分を補修していく作業です。先述した1階の外壁を壊したときに出た土壁の土を再利用し、水と混ぜ合わせて粘土状にしたものを補修が必要な箇所につめて隙間を埋めていきます。つめる力が弱すぎると乾燥した側からまたすぐにぼろっと土が落ちてしまい、逆に力が強すぎるとこれまで落ちずに耐えていた部分の土がやられて隙間が広がってしまうので、まるでわれものを扱うような絶妙な力加減が求められました。こうした作業では毎度女性陣の輝きっぷりがすごいです。補修が無事に済んだところで、次回からはいよいよ漆喰塗りのターンに突入できそうです…!
■図書館外①:土嚢(どのう)・廃棄瓦の運び出し
こちらは男性陣の汗が光るハードな作業。日々の作業の中で溜まっていった割れてもう使えない瓦や表の庭から取り除いた粘土質の土などをつめた重量級の土嚢袋を廃棄用のコンテナまで運搬していきます。コンテナは漁船が停泊している港に面した通りに置いてあるのですが、図書館からその場所までは道が細く車などの運搬車両が入ってこれないため、人手があるときは一定間隔でポジション取りをしバケツリレーの要領で順々に運び出すこともしましたが、基本的には一輪車で往復して少しずつ移動させていくほかありません。この往復を経験し終えた某ボランティアさんからは「ムッキムキに鍛えてから、また出直して来ます!!」と男気に満ちたお言葉を頂戴しましたが、微塵の遠慮もなく「またお待ちしております!!」とこの場を借りてお返事申し上げます(笑)
■図書館外②:資材一部搬入
柱の補強に使う角材や床材、各所で使う合板など、構造を固めていくのに足りない資材を高松のホームセンターで手に入れ、図書館まで搬入しました。ここでも運搬車両はもちろん使えないので一本一本担いでの運び込み。男木の美しいまちなみは昔の人がこうして努力されて積み上げられてできた賜物であるということを身をもって痛感させられたのでした。ずらりと並んだ資材に「いよいよ本格的に『つくる』段階まで来た…!」と、ある種の達成感を得られました。
■1階②:カンナがけ、資材防虫・防腐剤塗り
仕入れた資材にカンナがけを施し、防虫・防腐剤を塗りつけていきました。カンナがけは本業が漁師さんでいらっしゃる頼れる棟梁のご指導のもと、図書館メンバー一のムードメーカー「山のカズマサ」くんが主に担当。真剣な顔つきで丁寧に磨きをかけていく彼の姿はまさに職人そのものでした。防虫・防腐剤塗りはローラーを使ってコロコロと楽しく女性陣中心で進めていきました。焦げ茶色に染まった資材はもとある構造とうまくマッチするような色合いで、これからどんな新旧融合を見せてくれるのかに期待が高まります…!
■おまけ:道具小屋づくり
これまで作業で使用する道具は1階東側にまとめて管理していましたが、いずれその部分も床を一度剥がして高さを下げたり補強したりしないといけなくなるので、あらたな置き場として表の庭に道具小屋を新設しました。これで仕事を進める上で欠かすことのできない大切な道具たちが雨ざらしになる心配はなく、「○○どこにあるんや…?」とお目当ての道具の捜索に時間を割かれることも少なくなるかもしれません(図書館メンバーの大半は片付けに対して苦手意識を持っています。笑)またその壁面には「男木島図書館建設予定地」の文字がゆるりと掲げられ、路地からもぱっと目につく看板となりました!この看板を見つけられた方はぜひお気軽にお立ち寄りくださいね。
ご覧のとおり、図書館の古民家改修作業は今後もまだまだ続きます。当初は開館予定を8月末目標に頑張っていたのですが、この8月の暑さと台風の影響でどうにも時期がずれこみそうです。オープンを心待ちにして下さっている皆さまにはほんとうに申し訳ないのですが、少し延期させてください。セルフリノベーションで取り組んでいる以上、ここで焦って怪我人を出したりすることのないように一つ一つ着実に進めていきたいと思っています。作業の見通しが立ち、開館日が正式に決まりましたら、またこちらの公式サイトやFacebookページの方でお知らせさせていただきますね。これからもあたたかい応援のほど、よろしくお願いします。