早いもので二月も二週目に突入しました。皆さまはお身体の調子、崩されていませんか。私は先々週あたりから長い付き合いを強いられていた風邪とやっと決別するに至りました。何をするにもやはり健康が一番ですね。
開館日まで残すところあと一週間を切った男木島図書館では、改修作業がいよいよ大詰めを迎えています。今回は一月後半から最新の様子までをまとめてお伝えいたします!
■電気開通
これまで未整備だったインフラのうち、電気が一足先に開通しました。業者さんによる配線作業は数日間で終了し、裸電球のやさしいあかりの灯った館内は工事現場さながらの雰囲気から、人が過ごせる快適空間へと一気にその体裁を変えました。これにはあちこち取り付けられたコンセントによって、これまで電気工具を使用するために縦横無尽に這いまわっていた電気コードリールや延長コードが姿を消したことも大きく貢献しているかもしれません。
初めてあかりが点いた日暮れ後に、「これからは夜なべしようと思うたらいつでもできてまうなぁ」と笑っていた図書館メンバー。どうやら改修作業が佳境を迎えてもなお、大工仕事への意識は高まり続けている模様です。
■屋根緑化
灰色の雲が浮かび冷たい風がびゅーびゅーと吹き荒れて、いかにも冬らしい日がしばらく続いた後に訪れた束の間の晴天の空の下、小豆島でフラワーショップpensée(パンセ) を営む西脇さんが旦那さまと一緒に緑化屋根の土入れにお越しくださいました。
地図上で見ると隣接している小豆島と男木島。しかし、二島間直通の定期船がなく移動するには一度高松を経由しなければならないこともあって、西脇さんご夫妻の滞在時間はわずか三時間という忙しないものでした。短い時間ながら手早く丁寧に仕事を進めてくださり、土の重みで屋根大破…というような懸念していた状況に陥ることもなく、屋根一面が土で覆われたところでこの日のミッションは無事達成!
植物の植え付けは春にかけてゆっくりと行っていく予定です。図書館という場とともに、屋根の上の植物たちの成長も楽しみに見守っていただけたらと思います。
■庭整地
緑化に向けて動き出しているのは屋根だけに止まらず、来館者の皆さまを出迎えする玄関口ともなる庭の整地も着々と進行しています。
かつてこの場で崩壊した納屋の壁土と長年の間に図書館東部に位置する畑からなだれ込んできた土によって、本来よりも概ね二十センチほど高さの増した地面。高さをもともとのラインまで戻そうと改修当初からずっと地道に手入れはしてきたものの、掘ってみると未だ割れた瓦や土に還る寸前の建材、肥料袋やビンなどあらゆるものが出てきては困ってしまいます(お宝発掘ゲームのようで、こどもごころをくすぐられることも否めませんが)。
そうした廃棄物と合わせて悩みの種となっていたものに、「図書館南東角の庭の一部の土が常時ぬかるんでいるのは何でやねん問題」がありました。とある日、排水用の暗渠パイプを通して土壌改善を図ろうとそのぬかるみポイントを掘り下げていたところ、直径一メートルほどにもなる筒型の物体が不意に顔を覗かせました。発見当初には「何やこれ、井戸か!?」と思わせたその正体は、考察の末、どうやら肥溜め(肥料にする糞尿を腐らすためにためておく甕(かめ)のようなもの)ではなかろうかという話で落ち着きました。謎だった問題が解明されて心底スッキリするはずが、同時に「このやりきれない気持ちは何だろう問題」があらたに浮上する運びとなったのです。
このゆゆしき事態に活躍してくれたのが「宮大工・山のカズマサ」でおなじみのカズマサくんでした。
作業着に足元は長靴でばっちりとキメた彼はバケツを片手に、果敢にもその甕周辺の泥を次々とかき出してくれたのです。泥の量は想像以上に多く、みるみるうちに小高い黒い山ができるほどまでになりました。
深さ一メートルほど掘り下げて底まで行き着いたところで甕を叩き割って破壊し撤去した後、高い吸水力を持つ暗渠排水パイプを差し込んだ上で山積みにした泥を元あった場所に埋めなおし、作業に終止符が打たれました。決して形に残るような目立った仕事ではありませんでしたが、カズマサくんの頑張りはまさに「縁の下の力持ち」のごとく、確かに周囲に力を与え、地盤固めにも大きく寄与したのでした。
この箇所以外にも庭下の地中に数本の暗渠排水パイプを埋設し、地表を均して、今度は図書館に続く小道と縁側をつなぐ玄関アプローチづくりへと移行しました。
庭から出土したレンガや瓦をモザイク状に並べてモルタルで敷き固めるところまでが完了し、現在は目地に漆喰を塗っての仕上げを絶賛施し中です。来館者の皆さまが歩きやすいようにと、見た目のみならず凸凹のないフラットな道づくりを心がけたと言うのは、ここでの意匠を担当した建築部隊長の大和さんと前述のカズマサくん。お二人のセンスの良さが垣間見えますね。ぜひ図書館にお越しの際は建物だけでなくその足元にもご注目くださいね。
■ミニギャラリー施工
しばらく資材や道具の置き場になっていた一階北東部にあたる一角。ここをミニギャラリーへと変貌させるための施工が現在進行中です。
以前に土壁を覆うようにコンパネを打ち付け漆喰仕上げをしていた内壁面に胴縁を渡して、展示物を掲示できるボードのような役割を兼ねたコンパネ面をさらにもう一層追加しました。次いでこの面に漆喰の薄塗りができれば完成です。上の写真には写っていませんがこの場に取り付けたスポットライトのおかげもあって、いかにもそれらしい空間となりつつあります。少し気が早いかもしれませんが、これからこの場でどんな展示が展開されていくのか想像しただけでワクワクとしてしまいます。
開館に合わせてスタートする展示は前記事でお伝えしました通り、「男木島図書館杮(こけら)落とし展 松陰浩之 文芸家の肖像写真展『著者近影』」となっています。本や人との出会い、ふれあいに加えて、こちらの展示の方にもどなた様もぜひ楽しみにいらしてくださいね。
■本入れ作業
昨春にセルフリノベーションによる古民家再生に取り組み始めて以来まだかまだかと待ちこがれていた本入れの作業が、とうとう先週末から解禁となりました!
据え置き本棚の並ぶ一階西側の半フロアに保管場所からダンボールに詰めて少しずつ移動させてきた結果、今日まででざっと三千冊ほどの本を入れることができました。単行本と雑誌、絵本はざっくりとジャンル分けしながら西側壁面に、文庫本は作家さんのあいうえお順に並べて北側壁面に、写真集など文字よりも写真や絵を直感的に楽しめるような本については面置き本棚への収納を進めています。
すでに頂戴していた寄贈本から図書館理事長順子さんの私物の本に至るまで、幾多の想いのつまった所蔵本には文学、小説、ミステリー、SF、戯曲、デザイン集、趣味・実用書などなど…幅広いラインナップが揃っています。そうした本を前にテレビ局の取材に応じていた順子さんは、「寄贈していただいた本はまだ全然読めてないので、数年のうちは読む本には困らなくて良さそう。あと、自分が持ってる本でふいに読み返したいと思ったものがあってもどこにその本があるか分からなくて諦めちゃってたのが、これからはすぐに分かるだろうから嬉しいです」と、とても幸せそうな表情でお話されていました。その様子を見ていて、順子さんのようにこの場で本を手にとった人たちが笑顔になってくださると良いなぁと強く感じた私でした。
開館日となるバレンタインデーまで、細かな大工仕事と本入れの作業を引き続き行っていきます。十一日(木・祝)、十三日(土)には私たちにお力添えをしていただけるボランティアさんを募集しておりますので、ご興味・ご希望のある方はお気軽に下記フォームよりご連絡いただければと思います。
また、facebookページで開館日当日のイベントページを立ち上げました。どなた様でもお越しいただけますので、ご参加される方や当日の様子が気になる方は微塵のご遠慮なしにボタンをポチッとお押しくださいね。
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