2016年3月の開館日 あれこれ集

 

日々の風景にやわらかな彩りをそえていた桜の花がひらひらと散りゆく季節となりました。かすんだ空が海との境界線をあいまいにしてつくり出した果てのない世界はまるで、春の陽気にぼんやりと佇むわたしの脳内を可視化したようではっとしてしまいます。
こういう時こそ頭やからだを動かさなければというある種の強迫観念に後押しされて、ひさびさのブログ更新を目的にパソコンを開いてみました。傍らに男木島図書館の開館日誌をふり返りつつ、すでに遠い過去のように思われる3月の様子をまとめてみようと思います。

 

3月5日(土) 木内晶子朗読会、開催

 

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うどん県副知事としてもご活躍中の香川県ご出身の女優・木内晶子さんと、「革命ヴァイオリニスト」こと竜馬さんの豪華共演による朗読会を昼下がりに行いました。12時便のフェリーが着港して程なく、館内は近くは高松から、遠くは橋をわたって広島や岡山からかけつけて来られたお客さんでいっぱいに。「男木時間」でのんびりお越しになられた島民の皆さんは庭で立ち見になるほどのにぎわいっぷりでした。
「男木島や瀬戸内海にゆかりのあるお話を朗読していただきたい」というわたしたちの願いを受けて木内さんが選んでくださったのは、絵本『海幸彦 山幸彦』の1冊。男木島の集落の頂(いただき)にある豊玉姫神社に伝え残されている「豊玉姫伝説」とリンクしたお話で、子どもから大人までだれでも楽しめる内容でした。

 

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読み聞かせがはじまると、木内さんの透き通るような声と場面ごとに巧みに奏で分けられる竜馬さんのヴァイオリンの音色だけが館内に響きわたりました。見事にその場にいた全員がお話の世界に引き込まれてしまいました。

 

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木内さんの朗読の後には、プチ音楽講座と子どもたちのヴァイオリン演奏体験で楽しませてくださった竜馬さん。最後には来てくださった方から音を一音ずつもらっての素晴らしい即興演奏、「男木島での音楽」をご披露くださいました。
ほんの1時間ばかりでしたが、木内さんと竜馬さんのお人柄がにじみ出たように、さわやかで心豊かなひとときを過ごすことができました。ゲストのおふたりをはじめ、イベントにご参加くださいました皆さま、素敵な時間をどうもありがとうございました。

 

3月13日(土) 開館日誌、はじまる

 

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正式オープン日からまるっと1ヶ月経とうとしていたこの日、「日々の積み重ねを記録として残していければ」という気持ちで開館日誌をつけ始めました。開館日誌というと聞こえは良いのですが、実際のところは館長・順子さんと図書係・ミッキーが思いつくままにことばを並べただけの気まぐれ雑記帖、といったところでしょうか。
この日の来館者は、島内外よりおおよそ23名。島の方には本棚の一角に設けてある「男木島や瀬戸内海に関する本」コーナーが好評で、中には「最近よく男木のことが雑誌や新聞で紹介されてるとは聞くんだけど、手に取れる場所がなかったから。これからここで読めると思うとうれしい」と話してくださる方も。苦労して図書館をつくった甲斐があるというものです。

 

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一方で、大阪から本の整理のお手伝いにお越しくださっていたのは図書館メンバーの一員でもいらっしゃる堀さんご夫妻。現在据え置きの本棚が満杯状態ということもあって、段ボールに梱包されたまま中身を確認できていなかった寄贈本の数々をジャンルごとに分けてくださいました。ひとつ、またひとつと箱を開ける度にそれぞれの送り主さんの個性や趣向が垣間見えるようでした。

 

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そうした送り主さんの中には、本をお送りくださった後に図書館まであそびに来てくださる方がちらほらいらっしゃいます。この日も高松からお子さんを連れて「もう3度目の来館になります」と声をかけてくださったお父さんが。「訪れるごとに本棚が充実していく様子を見るのが楽しみです」と笑顔でお話してくださいました。わたしたちの方はと言うと、こうした方たちとの出会いや交流が楽しみだったりするのです。

 

3月16日(水) 館長と娘さんのキマグレおすすめ本コーナー、開設

 

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とある閉館日のこと。午前中には男木小学校の卒業式がありました。人生のひとつの節目を終えて、図書館にふらりとやって来たのは館長の娘・ひなたさん。体操服のジャージを身にまとい、3歳ぐらいの時に使っていたという木製テーブルのDIYに挑戦しました。

 

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余っていた黒板塗料を丁寧に重ね塗りして仕上げたテーブルに何を描くのか見ていると、そこにあらわれたのは本物そっくりのミツバチの絵でした。見本にしていたのは、ひなたさんの大好きな作家・有川浩さんの『だれもが知っている小さな国』の表紙カバー。どうやら思い出のテーブルはひなたさんのおすすめ本のポップというあらたな役を仰せつかさったようです。ちなみに、この本を初回のおすすめ本に選んだ理由は、「かわいい。子どもも大人も楽しめる」とのことなんだとか。

 

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ひなたさんに対抗(?)するように、館長のキマグレおすすめ本コーナーも同日開設されました。こちらには多様なジャンルの本が並べられ、館長・順子さんの本に対する興味の幅広さがうかがえるようになっています。
どちらのコーナーも不定期更新で継続していきますので、ご来館時にはぜひチェックしてみてくださいね。

 

3月20日(日) 瀬戸芸初日、にぎわう男木島

 

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3年に一度、瀬戸内海の島々を舞台に繰り広げられるアートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2016」が開幕。春会期のスタートに合わせて男木島では「踊り込み」のイベントがあり、島内外から駆けつけたたくさんの人でにぎわいました。

 

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図書館にもひっきりなしで人の波がやって来ました。瀬戸芸のガイドブックを手にした観光客やこえび隊の方の姿が目立つ中、人混みにまぎれて夏会期から男木島での展示が決まってらっしゃるパルコキノシタさん(昭和40年会)のご来館もあり。同会・会長でいらっしゃる松蔭浩之氏「著者近影」展を見られて、「これは貴重だねぇ」と感嘆の声をもらされていました。

 

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ちなみに、ふだんから「乗っても壊れませんか?」と尋ねられることが多い2階へと通じる古階段は、パルコさんが上り下りされてもビクともしませんでした…!

 

3月28日(月) 貸出カウンターでは、移住相談も受付中

 

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ここで突然の質問です。男木島図書館の貸出カウンターが移住相談窓口の機能をかねていることを皆さまご存知でしょうか。行政がやっているようなきっちりかっちりとした窓口ではありませんが、自身がU・Iターン移住者でもある図書館メンバーによって運営しているので「島での暮らしって実際どうなの?」なんていうざっくりとしたところのお話から、ナリワイやお家探しのサポートまでやらせていただくこともあるのです。
この日も、とある1組のご夫婦さんが移住相談にやって来られました。男木島との出会いは偶然でいらっしゃったものの、風土や島民の人柄が肌に合ったこと、彼らが望むライフスタイルが実現できそうな環境にあることなどがおもな理由で、島内で暮らしの拠点をもつことを真剣に検討したいとお話くださいました。このとき、ちょうどタイミング良く「家を貸してもいいと考えている」という島の姉さんの訪問があり、一緒に物件の内覧に行くというミラクルな展開も起こりました…!男木島に住みたいと言ってくださるあらたな仲間に出会えること、この場で縁が生まれてひろがりを見せていくことがとてもうれしく感じられます。出会いと別れの季節の春、さらにどんなストーリーがくり広げられていくのでしょうね。

 

最後にお知らせ

 

男木島図書館公式Instagramができました。こちらでは日々の様子に加えて、Amazonウィッシュリストよりご寄贈いただきました本を順次紹介させていただいております。本ブログや公式Facebookページ公式Twitterとあわせてぜひご覧くださいね。

 

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