8月22日(月)15時より、ウタウタイの玉井夕海さんをお迎えして
【玉井夕海live「足音」〜男木島図書館で音楽を愉しむ会〜】を開催しました。
今回のイベントは、手挽きで焙煎した珈琲豆を図書館に卸してくださっている
珈琲店watermarkくりはらしをりさんが紡いでくださったご縁で実現しました。
(先日しをりさんと行った【図書館で珈琲を愉しむ会】の様子はこちらから)
22日は平日の月曜日で、告知から当日までの期間も短かったため
玉井さんご自身でも「10人来てくれたらうれしいな」とおっしゃっていたところ、
ふたを開けてみれば予想をはるかに上回る計50名ほどの方にご来場いただけました。
子どもからご年配の方まで、島に住む人やふらりと訪れた観光客、
今回のイベント目がけて高松や岡山からお越しくださった人たちが夕海さんを囲みました。
「今日は図書館でのライブなので、持ち歌を唄うだけじゃなくて
『本占い』をもとにした唄あそびを織りまぜながら進めていきたいと思います。
みなさんに選んでもらった本を使って即興で奏でていくので、
好きな本をひとり一冊選んで私がいるところに積んでください」
ライブ開始早々、夕海さんから飛び出した突然のお題に
一斉に席を立ってお気に入りの一冊を探し回る聴き手の皆さん。
これから何が始まるんだろうと、誰もがわくわく不安な面持ちでした。
あらゆるジャンルの本が集まったところで、
夕海さんはまるでいのちを吹き込むようにアコーディオンを鳴らし始めました。
静かに鳴り始めた音は次第に渦を巻くようにして館内の空気を一変させ、
皆息づかいすら押し殺すようにして夕海さんに釘付けとなりました。
音がひとたび止むと、積み上げられた本にさっと手を伸ばす夕海さん。
無造作にページをめくり、そこに書かれている一節を感情ゆたかに朗読されます。
すとんとこころの底に落ちてくるような澄み渡った声があまりに心地よくて、
突如引き込まれたはずの本の世界に戸惑うばかりか
親しみすら感じてしまったのだから不思議です。
本の世界が閉じると、今度は夕海さんの唄声が響きます。
はかなく、やさしく、それでいて強くて意思を持った唄声には
波や風のうねりに近いものを感じました。
圧巻のステージに、ただただうっとりと聴き惚れてしまいました。
朗読と唄。
そんな贅沢な時間の合間にはこんなお話がありました。
「『本占い』は海外では実際によく行われている占いのひとつで、
たとえば『好きな子と上手くやるにはどうしたら良いだろう』とか
何か知りたいことを抱えている時に本を開くと
ヒントになる言葉や表現が書いてある、というもので。
これに倣って、今日わたしが朗読した本を手にする時には
『今日の不安』に対する答えが書いてありますようにって
願いを込めてページを開いてきました。
『今日の不安』ってきっと誰にでもあるものだから、
皆の心にも何か残った言葉や表現があれば嬉しいです」
「今日の不安」というと、開演当初はどんなライブになるのか全貌が見えず
固唾を呑むような雰囲気がありましたが、
音が奏でられていくと場は自然に打ち解けてきて
夕海さんが朗読し終えた本を子どもたちが自由に読み始めるなんていう
ほほえましい光景が見られるまでになりました。
夕海さんの生み出したおだやかな空気が、図書館をやさしく包みました。
いよいよ積み上がった本が最後の一冊を迎えた時、夕海さんからこんな提案が。
「最後の本は『明日』について占ってみたいと思います」
この時手にされていた本は、現在「館長のキマグレオススメ本」に認定されている
絵と文・小林賢太郎さんによる『うるうのもり』という絵本。
そして声に出して読まれた最初の言葉は「図書室」。
朗読最中、男木島では約一ヶ月ぶりとなる雨が降り始め、最後の曲「葡萄畑の真ん中で」では土砂降りに。
物語が与えてくれた『明日』を生きるヒントは皆がうなづく面白いものだったりして、
約二時間に及んだライブはかなりドラマチックに幕を下ろしたのでした。
夏の終わり、鮮やかに残る素敵な思い出ができました。
夕海さんをはじめ、ご参加くださいました皆さん、本当にありがとうございました。
素敵な音楽会だったようですね。
歌う人、聴く人みんなに忘れがたいシーンだったことでしょう。
楽しく素敵なイベントが目白押しで、皆さんの活動ぶりを拝見しています。