Playground: An Island | プレイグラウンド — 島の遊び 展示のお知らせ

エレナ・トゥタッチコワ+安部良アトリエ
Elena Tutatchikova + Architects Atelier Ryo Abe
Playground: An Island | プレイグラウンド — 島の遊び

人間としていかに世界を知覚し、想像し表現できるかを問い、様々なメディアの作品をつくるエレナ・トゥタッチコワと 、建築という概念を拡張しながら様々な地域でのフィールドワーク・制作を行ってきたArchitects Atelier Ryo Abe(安部良アトリエ=安部良・安部とも)は、高松アーティスト・イン・レジデンス2023に参加し、10月から12月にかけて男木島へ通い、コラボレーションプロジェクトとして島に住む大人や子どもとともに制作を続けてきました。
本展覧会では、その成果物のひとつ、島の人々と一緒に作った「男木島図鑑」や、エレナ・トゥタッチコワによる絵やセラミックの作品を展示し、島とは何かについて考え、島全体をプレイグラウンド(遊び場)にして、島の大人と子どもとともに探検しながら創るプロセスを共有します。
会期中は「男木島の“家”と“ひと”を巡る会」やトークセッション、島を一周して歩く会などのイベントを開催します。お話をしながら島の道を辿り、島内外の方々と一緒に、島での時間を過ごします。
島は、限られた土地だからこそ、すぐ隣の島とも異なる独自のアイデンティティを持つ場所です。地域の文化を凝縮した形で存在しながら、人間として生きる意味について、何か普遍的なことを教えてくれる場所でもあります。男木島は小さい島ながらも、瀬戸内海の島々の中で興味深い集落構造や生活様式を持ち、「島」とは何かを考えるための多くの物語を有しています。高齢化が進み、人口も減りつつあるいま、いかにしてこれらの物語を発掘し未来へ残し、島のコミュニティの維持に貢献することができるのか。島の道をみんなで歩きながら、答えを探っていきたいと思います。

島での滞在はどんなものだったでしょう。アトリエとして使用していた家屋に、学校が終われば子どもたちが寄って一緒に絵を描いたり、気がつくとみんなで踊り始めたりして、毎晩のように賑やかで楽しい時間でした。島を一周して森の中でイノシシの罠や、昔の畑の跡地を示す石垣に出会ったりしました。島のおばあちゃんの話を頼りに、かつて牛を飼っていたという場所を探しに行くと、藪の中でスズメバチに遭遇し、通れなさそうなので引き返したりして、まだその場所を探しているところです。風の日は、島を一周して歩いたあと、滞在中に知り合った方のお家に寄って、土間で焚き火をしながらみんなでご飯をいただきました。最後のフェリーが戻ってきて、島に暗闇が降りて、あたりが静まり返ると、港へ行き、釣り人に釣った魚を見せてもらいながらお話を伺いました。何気無いできごとから、島の人々の生きる時間の楽しさや大変さ、喜びと悲しみを垣間見て、島の過去と現在を考えて、未来を想像しています。

エレナ・トゥタッチコワ

【展覧会】2024年1月27日(土)〜2月4日(日)

会場|男木島図書館(〒760-0091 香川県高松市男木町148-1)
〒760-0091 香川県高松市男木町148−1
会期|2024年1月27日(土)〜2月4日(日)(木金土日開催、月火水休み)
時間|13:00〜16:30
(上記の時間外、または休みの日に鑑賞を希望される方は、事前のご連絡で対応可能です。)

【男木島の“家”と“ひと”を巡る会】2024年1月28日(日)

集合場所|男木島図書館
日時|2024年1月28日(日) 9:30〜 *小雨決行
瀬戸内海の男木島は、高松からフェリーで40分、島の西側に住宅が密集する集落を持つ小さな島です。2010年以降は、島外から移り住む人が増え、移住者(U・Iターン)の人口が島全体の30%ほどを占めるようになりました。多くの人が古い家を直し、それぞれが生業(なりわい)や役割を持ち、その人らしい暮らし方をしています。
そんな男木島の空き家の増加や利活用、それに伴う集落景観の変化について、10年以上にわたり観察してきた建築家・安部良が、男木島の“家”と“ひと”を案内します。
当日は男木島の家に暮らす方々にも実際にお話を伺いながら、男木島が積み重ねてきた時間と歴史、建築と景観、これからの将来像について、みなさんと共有してみたいと思います。

定員 | 10人(先着順)
申込締切|2024年1月20日(土)
昼食について|ご希望の方には「象と太陽社」のランチをご用意いたします(一人前1500円)。申し込みメールに必要数をご記載ください。
参加費 | 無料(ランチをお申込の方は現地でお支払いただきます。)
※ 船の欠航や悪天候の場合中止

【トークセッション】2024年1月28日(日)

エレナ・トゥタッチコワ、安部良、安部ともによるトークイベント
会場 | 鍬と本 (〒760-0091 香川県高松市男木町142)
日時|2024年1月28日(日)15:00〜16:00
申込不要
※ 船の欠航や悪天候の場合中止

【島を一周して歩く会】2024年2月4日(日)

エレナ・トゥタッチコワと一緒に男木島の集落から出発して山道を渡り、島を歩いて一周します(約5km)

集合場所 | お申込みの際にお知らせします
日時 | 2024年2月4日(日)11時〜14時(終了時間は前後する場合があります。)

定員 | 10人
参加費 | 無料(先着順)
その他|山道を歩くコースになりますので、歩きやすい靴や服装でお越しください

ワークショップ申込み方法
mibu.playground@gmail.com まで、参加したいワークショップ、名前、人数、年齢、居住地、当日ご連絡可能な電話番号を記載のうえ、お申し込みください

【プロフィール】

エレナ・トゥタッチコワ|Elena Tutatchikova
1984年ロシア、モスクワ生まれ。京都市在住。2003年、チャイコフスキー記念モスクワ国立音楽院付属中央音楽学校卒業。2011年、ロシア国立人文大学東洋文化・古典古代学部卒業。2020年、東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現科博士課程修了。第 38 回写真の町東川賞 特別作家賞 受賞。「VOCA展2023」奨励賞 受賞。著書に『林檎が木から落ちるとき、音が生まれる』(torch press、2016 年)、『聴こえる、と風はいう』(Ecrit、2022年)。

安部 良 |Ryo Abe
建築家・博士(芸術工学)
1995年より安部良アトリエ一級建築士事務所(Architects Atelier Ryo Abe)を主宰。
各地で住宅、店鋪、公共建築、社会福祉施設等の建築設計業務を統括し、地域拠点や新しい福祉の場などの設計を通じ、“コミュニティの見える場面”づくりに取り組んでいる。
2010年には第1回瀬戸内国際芸術祭参加作品「島キッチン」を香川県・豊島にて発表。使用者・関係者のニーズを汲み取りながら、さまざまな立場の関係者と綿密な協議・連携を行い、地域拠点としての建築の意匠性を高めていく設計を実践してきた。その活動は、日本建築学会賞作品賞を受賞するなど多方面から評価を得ている。
また、2010年より香川県高松市・男木島集落における空き家の適正管理・移住促進の調査研究を開始し、現在も継続している。10年以上の調査研究の内容を「田園回帰現象における移住者の増加と空き家の関係の研究」として博士論文にまとめ、2023年に博士号(芸術工学)を取得した。

安部 とも | Tomo Abe
安部良アトリエ一級建築士事務所・プロジェクトマネージャー。
2016年、武蔵野美術大学芸術文化学科卒業。博物館学、アートマネジメントおよびデザインマネジメントに関する知識を活かし、同大学研究室勤務の後、2018年より京都市にて宿泊事業の企画運営・デザイン業務を行い、「KéFU stay & lounge」の立ち上げに携わる。
2019年より現職。バックオフィス業務ほか、地域プロジェクトにおける企画立案やファシリテート業務に携わっている。

【プレイグラウンド | Playground について】
どんな場所でも遊び場になれることをコンセプトに、子どもと大人が遊びながら作り、経験し、考え、知り、関わることを試みる、エレナ・トゥタッチコワが企画・主催するコラボレーションプロジェクトとして、2023年1月よりスタート。
人間にとって「遊ぶ」「創る」「想像する」こととは何か。「プレイグラウンド」では、その普遍的な問いに対して、アート、哲学、文化人類学などの分野から多面的、多層的にアプローチしながら、探る。

謝辞(五十音順)
碓井作矩、碓井俊丞、ダモンテ海笑、なかがわまりめ、西川優花、額賀順子、福井大和、山口久実、山口憲太郎、山口月果、山口陽太郎

高松アーティスト・イン・レジデンス2023[主催:高松市(文化芸術振興課)]