年始に寄せて

6回目の「年始に寄せて」。昨年、私は「消費されない場所になる」ということを再び考えて書いていたのですが、そこからの世界の変動は大きく、男木島図書館は現在も島外に向けては臨時休館中とさせていただいています。

その間に考えたことを「図書館」(仮称)リ・デザイン会議の年末のアドベントカレンダーの一記事として書かせていただきました。
図書館は誰のもの?|「図書館」(仮称)リ・デザイン Advent Calendar 2020

上記記事から自分の言葉ではありますが引用すると

「男木島図書館」と名付けたこの図書館は最初「誰向けの図書館か」ということは特に決めずに走り始めました。島の人向けとすることはできるけど、島の外の人でもこの場所に来たいと思う人がいたら来て欲しいと思ったからです。

それが今年。新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、完全に「島の人向け」に舵を切りました。男木島は人口155人中90人以上が高齢者の島です。感染症のリスクは高く、この判断をしたことは間違えていないと思っています。
でも同時に「図書館という場所を特定の人に向けて開いている」という状況を作り出したのも確かです。

図書館は誰のもの?|「図書館」(仮称)リ・デザイン Advent Calendar 2020

休館が続くという静かな外側とは裏腹に、葛藤の一年でした。

そして正直を言ってこのことに答えは出ていません。

昔、夫が私が病んだ時に1枚の絵を書いてくれました。家族の絵。そしてそこに添えられた言葉はとても私を救ってくれたのですが、最近その言葉をよく思い出します。
「嵐の日も晴れた日もあるけど、自然には逆らえないから、嵐の日は家でゆっくり過ごそう」
男木島で生まれて、自然の中で育った人らしいな、と思うのです。
まあ実際男木に住むともう子供じゃなくなった私たちは、嵐だからと言ってゆっくりは過ごせないのですが、自然に逆らえないのは事実。体力を温存して、備えて、動ける時を待つ。

とても個人的な話でごめんなさい。

でも今はきっと嵐の時と同じなんだろうなと思います。吹き荒れる風はないけれど、無理をせずに過ごせたらいい。

昨年、男木島で一緒に住んでいた義祖父が亡くなりました。90歳でした。そして昨年末や年始、コロナ関係なしに思わぬ人の訃報を聞いたりもありました。

生きのびただけで褒めるぐらいでいいのかも、とさえ思います。
あなたがそこにいてくれてありがとう。

そんなわけで2021年の男木島図書館の計画はびっくりするくらい真っ白です。
とはいえ、外との関係を閉じてしまいたいわけではないので、少しずつ状況を見ながら進んでいけたらなと思っています。

個人的な話が多くなりましたが、男木島図書館を支えてくださっている皆さまありがとうございます。
ゆるやかな便りを待つように、見守っていただけたら嬉しいです。

晴れの日が来るまで雨の日に家に籠もって本を読むように過ごしていけたらと思っています。

少し年明けから時間が経ってしまったけど。今年の「年始に寄せて」でした。

NPO法人男木島図書館 理事長 額賀順子

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